「Bob Marley / Jamming」 The Roots
キューバの南、ハイチの東、カリブ海に浮かぶジャマイカは、日本で言えば四国ほどの小さな島だ。フロリダから飛行機で1時間40分。230万人が住むとされているが、イギリスやアメリカ、カナダなどへの移民の数は、現在その倍にのぼるとも言われている。

1494年、コロンブスのジャマイカ上陸以来、この島では度重なる搾取、殺戮が繰り返されてきた。先住民族とされる“アラワク”はスペイン人が強制した苛 酷な労働と、持ち込まれた新種の病気のためにほぼ全滅。その代わりとして輸入されたのが、主にアフリカの西海岸からの黒人達だった。その後17世紀中頃に イギリスが武力侵攻し占領、さらに1834年の奴隷解放後も黒人達の受難は続く・・・・・・
解説
・・・・・・1945年2月6日、ロバート・ネスタ・マーレイはセント・アンズ教区という緑の多い田舎町に生まれる。母親は19歳の地元黒人女性のセデ ラ・ブッカー、父親は当時その地域に赴任していたイギリス白人、ノーヴァル・シンクレア・マーレイ陸軍大尉。大尉はセデラと結婚はしたが、やがて彼女を捨 てる。ボブが育った土地は都会から遠く離れたところで、そこにはアフリカの価値観や信念がなおも色濃く残っていた。彼の祖父オメリア・マルコムはその教区 でも尊敬された人物で、心霊をなだめる術と妖術に長けた“魔術師”だった。

まだ幼い頃から歌いはじめたと聞いたけれど・・・・・・。
どのようにして歌いはじめたんだい?

「まず、泣くことからはじめたのさ」

「僕は父なし子だ。父親の顔も知らない。母は僕の学費稼ぎに週30シリングで働いた。僕は教育よりひらめきがある。教育があったらバカになってた」

「僕は自分に対して人種的偏見がない。理由はこうだ。僕の父は白人、母は黒人で僕はハーフだと言われる。だが僕たちは人種の下にではなく神の下に生きている。神が僕を白人と黒人から創られたのだ」

「学校の女の先生がこういった。“話せる人は話しなさい。何かを作れる人は作りなさい。歌える人は歌いなさい”だから俺は歌うんだ」

「よ くわからないが、俺のおふくろがもとシンガーだった。おふくろはスピリチュアル・・・・・・つまり、ゴスペル・シンガーだったんだ。自分で曲も書く。だか ら、まず最初に聞いたのはおふくろの歌だったってわけだ。それから・・・・・・俺は音楽が大好きになった・・・・・・大好きで・・・・・・そう、一緒に成 長したようなものだ。そして今は、好きだからやっている・・・・・・ごく自然なことだ」

「僕らはレコードが買えずラジオを聴いた。ラジオから流れる音楽は何でもだ。だが僕はそうした音楽には関心がなかった。僕の関心は・・・霊的な音楽だった。革命の意識をもたらす音楽だ」

「ト レンチタウンでの暮らしはこんな風だ。ギターを片手にだれかのねぐらへ行く。そこでハーブをやると、みんなの間で音楽が始まるんだ。その場に集まる誰もが 影響し合った。歌い方のわからないものがいたとすると、だれかが“こう歌え、歌詞はこうだ”と教える。すべての基本はいつも人だ、人の存在だ」

「地上に生きる限り住 み家が必要だ。僕は父の下で生きたい。父はエチオピアにいる。父の入る場所で生きねば。僕の未来は地球の緑の中にある。自由に放浪できるほど広い所だ。 ジャマイカは僕には合わないと思う。狭いからだ。だがエチオピアなら冒険ができる・・・本当に生きる事が。それができるのはアフリカだけだ。いつか僕は音 楽をやめアフリカへ帰る。誰とも話さず、誰にも歌わない。本当だ。ジョークじゃない」
解説

「僕の家は僕と共にある。頭の中にあるんだ。僕が思考の中で心を落ち着かせる場所・・・・・・それが家だ。僕の家はその辺の形ある家じゃない。頭の中にあるんだ。恋人は僕の思いにある」

「ある者は木の葉だ。ある者は小枝だ。だが、俺たちは根っこなんだ」


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